酔句会通信
                             幹事・武田伸彦

酔句会のレギュラーメンバーは、現在の所、女性3名、男性9名、計12名で、平均年齢は、約70歳。好奇心旺盛で感性豊かなメンバーで構成されています。
顧問の先生は、日本伝統俳句協会の理事もされている著名な女流俳人で、高濱虚子の「花鳥諷詠」の理念である「有季定型」「季題尊守」の立場を取られ、現代に於ける新しい伝統俳句を創造する事を目標にされています。
果たして我々の句は、先生のお眼鏡に叶うのか!今年3月、5月、7月の酔句会全作品130句を先生に見て頂きました。

3月特選句
「流氷の去りし日はるか海蒼く」けん
流氷を見に行った事があります。知床の海は、蒼く蒼く、それは蒼くて忘れられません。この句の通りですが、類想は多いかと思います。

5月特選句
「一人来て残花の下や月いまだ」お軽
散り残っている花の下、暖かい夜風に吹かれて、一人佇む作者。春の二十日月は、まだ出ない・・・。

7月特選句
「洗濯の白が輝く夏の空」一枝
気持ちよく洗って、気持ちよく高く干した白い洗濯もの。素直な嬉しさが出ている。この句も類想はあると思いますが。

3月佳作
「さざえ売る声今は無し浜通り」昭一
「ランドセル背負いて待や始業式」一枝
「椿落つ他に音なき御寺かな」お軽
「山笑うその先遠く富士の山」昭一
「青空を目指す坂道紅き梅」けん

5月佳作
「断りの携帯電話花疲れ」昭一
「昭和史を秘める御陵や初桜」けん
「花吹雪お国訛りの上野かな」けん
「古本に傍線のあり春時雨」お軽
「北窓を開ければかすか鼓笛隊」けん

7月佳作
「夏山の宿坊ひとり湧く泉」花筏
「空映し忍野の泉こんこんと」一枝
「去る時に泉の音は響きけり」けん
「亡き妻の匂い残りし夏帽子」伸彦
「夏風邪に改めて知る己が歳」昭一

皆様は、ご不満であろうと思いますが、私は、考えないで一読。景の浮かぶ句が良いと思っておりますので。(千鶴子)

今回は、けんさん、お軽さん、一枝さんが、めでたく特選に選ばれ、おめでとうございました。

先生のお眼鏡に適わなかった作品も多々ありましたが、それなりに共感し、奥行きの深い俳句もありましたので、私の独断と偏見で選ばせて頂きました。

3月句会
「卒業生肩もカバンも軽き哉」司馬楽
卒業出来た喜びで、身も心も晴れ晴れとした感じが良く出ていると思います。
「始業式どんな友達出来るかな」ひろ子
とても素直で、期待と不安で一杯の気持ちが伝わってきます。

5月句会
「花疲れいえ本当は恋疲れ」たがや
納得です。異性とお花見に出かけると結構知ったかぶりをして疲れるものです。
「墨堤の文人気取って桜餅」和生
妄想の世界に浸っている作者の気持ちに共感を覚えます。私も荷風になりたい。

7月句会
「夏点前見惚れた妻が笑み返し」俊夫
相思相愛のご夫婦!私にとって理想の夫婦像です。
「お遍路に仁淀ブルーの沈下橋」和生
まだ自然が残っている仁淀川や四万十川、旅に出たくなりました。

酔句会で俳句を学べば、争いごとの無意味さが良く分かって来ます。
争い事は、憎しみの連鎖を生みます。俳句は、自然の息吹を感じとり、地球と言う小さな世界で、各々がいがみ合い、争ったりする事の無意味さを教えてくれます。お互いが、尊重し合い助け合う事で、憎しみの連鎖を断ち切る事が出来、人を思いやる優しい世界へと導いてくれます。それが俳句の真髄だと思います。

2017.07.31 / Top↑
酔句会通信
                           酔句会幹事・武田伸彦

俳句は、世界で最も短く、日本人の呼吸と生活のリズムに合った短詩型文学です。
その中に、日本語の宝石とも言われる「季語」を一つ取り込み、作者の感動した事、感じた事を表現するにふさわしい「レトリック」を見つけ出し、17文字に纏めるのが俳句だと私は思っています。
俳句は、自己表現の場でもあり、その手段にする事が出来ると言う充実感が、俳句創作の尽きない魅力の源泉です。
俳句を作り始めると、見える物、聞こえる物、触れるもの、匂う物など、この世で出会う全てに好奇心が湧き、興味と関心が旺盛になります。
俳句を作り続ければ、日常生活が楽しく生き生きして来ます。
俳句のある生活は、誰の前にも平等に開かれており、男女、年齢、 職業、学歴などによって差別される事の無い世界です。
たった17文字に込められた「心のかたち」、「魂のかたち」、シンプルでぜい肉をそぎ落とした言葉の中には輝きがあります。そして、季節と共に年齢を重ね、しなやかに生きる事が出来ると思っています。
酔句会には、老若男女15名の会員が在籍しており、それぞれが青年の如く元気で若々しく、しなやかに生きています。
それでは、昨年の9月酔句会、11月酔句会、そして今年の新年酔句会、合わせて160句を、高濱虚子に師事され「ホトトギス」所属の著名な女流俳人で、日本伝統俳句協会理事も務めておられる先生に観て頂きました。

先生から、選句するに当たって、下記のようなお手紙を頂きました。

「理が勝っている句が多いのは、仕方ありません。余韻の残る句、説明的で無い句が、佳句と思います。それと私は季題を大切にしていますので、無季は選句の対象外としています。
特選とした句は、訴えるものを持っていると感じた句です。頭で作らない事。沢山作っているうちに、ひょっと佳句が出来るものです。おはげみ下さい。」

それでは、先生が選ばれた特選句からご覧いただきましょう。

特選
「秋風や斜めに渡る交差点」たがや
「冬帽の女(ひと)足音を立てず過ぐ」お軽
「おみくじは今年も引かず初詣」たがや

佳作
「一人旅ゆく先々に秋の風」たがや
「病癒え病院の庭に百日紅(さるすべり)」花筏
「蔓引けば雨をこぼすや烏瓜」お軽
「短日や坂の角より暮れかかる」お軽
「短日やあっけからんと暮れにけり」たがや
「夕暮れや芒に光残りけり」けん
「路地にまで光あふれて初詣」けん
「半世紀同じ社(やしろ)に初詣」たがや
「通学路白菜畠今日も晴れ」昭一
「朝夕に水仙の芽を見に通ふ」けん

予選
「初詣おみくじ見せ合い春近し」一枝
「白菜を漬ける母の手赤かりし」司馬楽
「帰省して白菜刻む音高く」けん
「「蚯蚓(みみず)鳴く昭和の妻の針仕事」お軽
「ひまわりに見据えられ猫退散す」昭一
「短日や愛猫相手に独り酒」伸彦
「短日や今日も日記は白いまま」たがや
「宇和海の極早生みかん皮うすき」和生
「宿坊の勤行の朝菊膾(なます)」花筏
「風骨も定まる事なし年惜しむ」俊夫
「ラジオ聞きまどろむ外は秋の風」ひろ子

今回は、青木克博さん、吉田賢策さん、露木和子さん、真子昭一さんの句が、先生から
評価されました。今回選ばれなかった者も、先生が仰っているように、沢山作っているうちに、ひょっと佳句が出来るそうなので、めげずに精進致しましょう。


2017.02.15 / Top↑
 酔句会通信

~初句会盛り上がる~

                酔句会幹事 武田伸彦

酔句会の初句会が、1月19日(木)赤坂の麦屋と言うお蕎麦屋さんの個室にて午後5時から開催されました。
句会に相応しいとても趣のある個室です。

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今回の参加者は、長谷川和生さん、丹羽俊夫さん、真子昭一さん、安野正紀さん、国府谷ひろ子さん、小林一枝さん、赤川 司さん、吉田賢策さん、武田伸彦の9名です。

青木克博さんは、投句をされましたが都合がつかず欠席、最高齢の橋本 潔さんは、目の手術のため欠席、俳句センス抜群の露木和子さんも都合がつかず欠席となりました。

これからも楽しく有意義な酔句会になる事を祈念して乾杯!
午後5時30分から句会が始まり、宴会は句会終了後のお楽しみとなりました。

句会進行は、幹事の武田、披講は、元・女子アナの小林一枝さんが担当です。
今回の兼題は、11月句会で最高点を取った吉田さんが出題した「初詣」「白菜」
「当季雑詠」を含む5句です。

初句会の最高得点は、長谷川さんの5点句でした。
「初詣篝(かがり)火(び)番の顔赤し」和生
とてもシンプルな句ですが、初詣の寒々した雑踏の中で、篝火担当の顔が照り返しの熱で赤く染まり、厳粛な中にもほのぼのとした光景が目に浮かびます。長谷川さんにとって、5点句を取られたのは初めてと言う事で、喜びも一入でした。今年は、素晴らしい年になる事でしょう。おめでとうございます!

続いては、4点句が1句でした。
「白菜を漬ける母の手赤かりし」司(司馬楽)

赤川さんは、秋田県の出身で、昨年お母さまを亡くされました。
そのお母さまが元気な頃、寒風吹きすさぶ寒さの中で、手を真っ赤にして、家族のために白菜を漬けている光景を思い出されたのでしょう。お母さまを偲ぶ赤川さんの優しさが伝わってきます。

3点句は、6句ありました。

「路地にまで光あふれて初詣」賢策(けん)
「白菜を赤子の如く抱く女」克博(たがや)
「豪快に白菜もぎるチャンコ番」俊夫

「投扇興舞子の口に艶の春」俊夫
「薄氷に吐く息白し触れ太鼓」俊夫
「人の波わが身委ねて初詣」司(司馬楽)

丹羽さんの句は、「チャンコ」「投扇興」「触れ太鼓」と、日本の伝統文化の香りがして、外国人にも知って貰いたい、将にクール・ジャパンの俳句ですね。
丹羽さんの解説を聞くと、その詳細がとても良く分かり勉強になります。

2点句は、3句ありました。

「初詣おみくじ見せ合い春近し」一枝
「年賀状書きひとこと語りくる」一枝
「真っ二つ白菜真っ白すかっ晴れ」伸彦

1点句は、17句ありますので、いくつか抜粋してご紹介しましょう。

「むずかる子あやしながらの初参り」昭一
「母の手をしっかりつかみ子の寝顔」ひろ子
「冬もみじ蘆花の庵は竹林」正紀(花筏)
「冬深き還らぬままの北の島」克博(たがや)
「朝夕に水仙の芽を見に通ふ」賢策(けん)
「めでたさや神楽がひびく初詣」一枝
「甘酒に釣られて近所の初詣」俊夫
「焚き上げや少年の手に火かき棒」和生
「初日の出フラゴナールの雲ひろげ」和生

句会は、午後7時に終わらせ、宴会タイムに入りました。
暫く俳句談義に花が咲きましたが、お酒も入り、テレビ朝日の社史に掲載されていない裏社史の話題で盛り上がりました。

メンバーも色々な職場を経験している強者ばかりで、今だから話せる報道闘争秘話であるとか、興味深い秘話がいくつも飛び出しました。

本来は、会社に取って都合が悪い事も一つの真実の歴史として書き留めた社史にしなければ意味がない気がします。真実を知り理解する事から、同じ過ちを繰り返す事を避ける事が出来ると思うからです。

酔句会は、俳句を通じてコミュニケーションを図り、テレビ朝日を更に飛躍させる為に、陰で支える集団でありたいと願っています。
とても有意義な初句会でした。
2017.01.23 / Top↑
酔句会短信
                   2016年3月号
 まだ子供達が氷と戯れる立春あたりから、新入生や新卒の服がまぶしい春たけなわまで、景色の変化はめまぐるしいものがあります。無彩色のトーンが変わり、梅の赤や白がアクセントを添え、そして新しい人を待つ。酔句会にも新人(一枝)が入りました。
 薄氷を割る長靴や赤白黄 けん
 かんばせは天を仰いで落椿 たがや
 甲斐の山蠟梅透かし屈み見る 和生
 梅香り次は私と出番待つ 一枝

 梅が終われば桜。川端に咲き誇るソメイヨシノもいいのですが、山に深く分け入り一本の山桜と出会ったり、桜に惹かれながら歴史の世界に思いを馳せたりするのも一興かも。
 吉野山桜吹雪と湯あみする 一枝
 花冷えや電話の鳴らぬ今日一日 たがや
 西行庵ただ山桜佇みて 司馬楽
 祇王寺に桜は遅く小雨降る きよし

 そして本格的な春が来ます。最初は春疾風など突風が吹きすさび、春塵も舞いますが、やがて太陽が暖かくまわりを包み、木の葉も緑を増してきます。お祝いの席も多い時期ですが桜鯛もおいしくなりました。繰り返す生の営み。年月は地層を重ねていきます。
 春塵や土塀は長く法隆寺 きよし
 浜で買う海坂藩の桜鯛 花筏 
 縄文の地層に鯛の骨泳ぐ 司馬楽
 手弱女と一夜過ごせし春の夢 伸彦
 新園児若葉と競え未来絵図 俊夫

 移り行く春を時系列で追ってきましたが、今回の句会では、春の色彩を3色それぞれで見事に捉えた句があり、高得点句となりました。同一作者によるものです。色彩の春、これからが一層楽しみです。
 水取や火の粉に崩る人の闇 お軽
 花万朶枝々に鬼棲まはせて お軽
 蒼き潮纏ひてあがる春の鯛 お軽       
                           
*酔句会短信は次号より別筆者にて新たな形で発信します。(けん)
 
 
 
 
2016.03.24 / Top↑
酔句会短信 
                 平成28年1月
 
 雪に遊ぶ子ども、雪と戦う男、雪に思いを馳せる女…様々な情景が浮かぶこの季節、暖冬で遅れはしましたが、大寒の頃から本来の日本の「原風景」が戻ってきました。句に詠まれた光景も様々です。
 悴める手をしゃっけえとわらし泣く 司馬楽
 きわだって雪の門ある廓あと 潔
 会えぬとも忘れぬ不香の花の舞 俊夫
 風花の舞うが如くに妻逝けり 伸彦

 ちょうど大寒の時期1月20日赤坂麦屋で酔句会初句会が催されました。兼題は「風花」に「初荷」。親から送られて来た初荷に身も心も満たされた子がいます。
 年の瀬に初荷の為の品定め ひろ子
 初荷解く母の温もり餅百個 伸彦
 五年目は初荷も重し仮設かな 花筏
 
 元旦から「どんと祭」まで続いた正月行事も、もう遠い昔の記憶になったような気もします。今改めて、生活や気持を織りこんだ句で振り返ってみると、「日本のお正月はいいな」と思わずにはいられません。
 初富士や石段一気に登りきる 賢
 甲年に願う祈りは永遠の幸 ひろ子
 初点前古女房に惚れ直し 俊夫
 出初式思わぬ低さに虹たちぬ 和生
 村老ひぬとんどの山の小さくて お軽

 もうすぐ立春、雨水と季節は変わっていきます。草木たちは忍びよる春の準備を始めています。厳しい季節が続きますが、甘いものをいただいて、英気を養いましょうか。
 春告の菓子の甘さや京の雨 お軽
                        (賢)
2016.01.29 / Top↑
まとめ